NGOフク21は、児童養護施設経験者の居場所づくりや、就労支援、連携サポート、実態調査を行います。

第10回福祉交流サロン~市川太郎さんを迎えて

第10回福祉交流サロン~市川太郎さんを迎えて

画像の説明 第10回福祉交流サロン
2016年6月18日、市川太郎さんをお招きして、「人生マイナスからの挑戦!!~生きる意欲を支えたもの~」と題して、自らの人生を振り返りながら語っていただきました。題名の「人生マイナスからの挑戦」とは、「人生“ゼロスタート!”“フェアスタート”などと鼓舞する政治家がいるが、社会的養護で育つ人生は“カネなし!オヤなし!カゾクなし!”の“マイナススタートではないか!”。ゆえにさまざまな困難を承知で挑戦する覚悟が求められる」という市川さんの持論から発せられています。市川さんは、2歳から高卒18歳まで16年間を児童養護施設で育ち、苦学して大学で教員免許を取得後、児童養護施設及び自立援助ホーム長などの施設職員として20年以上の現場経験を積んで来ました。その結論の一つが“人は法や制度で育つのではない!よき人との出逢いが決定的に重要である!”として、現在福祉人材養成を志し大学・短大・専門学校などで兼任講師を務めています。同時に施設運営アドバイザー、第三者委員など現場実務にも携わっており、その話は理論的実践的で説得力溢れるものでした。また市川さん自身が歩んできた道を土台に語られているので、言葉の一つ一つに重みがあり、大変感銘を受けました。

 人生を振り返ると、「良き人に出会うことが出来、その後の人生に大きな影響を与えられた」と述懐し、「人」とのつながりの大切さを強調しています。勉強の面白さを教えてくれた小学三年時の担任の先生、高校進学を勧めてくれた施設の職員、そして保証人問題で躓いた時支えになってくれた施設職員や職場の先輩、高校時代の同級生、夜間大学の仲間等の存在が大きかった、と。

 また、生きる意欲を支えたものは芸術である。文芸作品・マンガや歌謡曲をはじめ、音楽、絵画・美術等に励まされたと振り返っている。皆さんご存じの“ひょっこりひょうたん島”(戯作者・直木賞作家、井上ひさしの代表作)の主題歌には大きな勇気をもらった。

♫くるしいことも あるだろうさ かなしいことも あるだろうさ 
 だけどぼくらはくじけない なくのはいやだ わらっちゃおう!!♫

 最後に市川さんは今日の自立支援のあり方について危惧の念を示されました。自立するには、自分も一部負担する覚悟と努力が必要です。過剰な援助・サービスは却って自立を妨げかねません。その意味で「給付型奨学金制度」には反対である。近年の社会福祉界は高齢分野、障害分野、児童家庭分野など揃って自立支援を強調しているが、総じて上からの施策で現場から出たものではないように思います。「上から」の自立支援ではなく、現場からの自立支援、当事者の視点からの自立支援であって欲しいと願っています。その方法は「自助」→「互助」→「共助」→「公助」とあるが、決め手は「自助」です。自らが精一杯の自助努力を果たした上で、なお足りないところを助けてもらうのが「本来あるべき姿」と問題提起され、結びの言葉とされた。児童養護施設出身者は、逆境に遭遇し大変だと“同情”や“孤独”“悲哀”“あわれみ”を訴えるのでなく、この国の社会的養護で育ち、育った仲間達が力強く頼もしく生きていくための理念で“NPOほっとスペースまつば”の活動を展開していることは、弊法人との共通点をうかがえた。【齋藤敏郎・福田茂雄】
画像の説明 市川太郎さんを囲んで

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